Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けつえきがたさつじんじけん

血液型殺人事件

甲賀 三郎

Lesen Sie 血液型殺人事件 (けつえきがたさつじんじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.256 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ、お伺いいたしましょう」

何の話だか見当はつかなかったけれども、私は即座に承知した。先生の宅へ行って、いろいろ話を聞くという事は、その頃の一番楽しいものの一つだったのである。

その日の夕刊には、もう毛沼博士の事は数行しか出ていなかった。死体解剖の結果一酸化炭素中毒による死であることが判明して、当局は前後の事情から、過失によるガス中毒と決定したという事だった。

その夜私は笠神博士を訪ねた。博士は大へん喜んで私を迎えて、いつもの通り書斎でいろいろ有益な話をして呉れたが、今日の昼何となく意味ありげにいわれた「話」については、少しも触れなかった。尤も、こっちの思いなしかも知れないが、時々先生は話を始めかけようとしては、直ぐ思い返しては、学問上の話に戻られるのだった。そんな事が二三回あったが、先生はとうとう何にもいわれなかった。後で考えると、この時に、先生は私にもっと重要な話がしたかったらしいのだ。然し、どうしてもそれをいい出すことが出来ないで、そっと溜息をついては、他の学問の話を続けておられたのだ。私がもう少し早くその事に気がつけば、こちらから積極的に尋ねかけて、委しい話を聞いたものを、私がぼんやりしていた許りに、引続いて起る悲劇を防ぐ事の出来なかったのは、実に遺憾極ることではあった。