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Japanische Klassiker mit Furigana

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けつえきがたさつじんじけん

血液型殺人事件

甲賀 三郎

Lesen Sie 血液型殺人事件 (けつえきがたさつじんじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.256 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

譬えば妻の処女時代、又私が不在時、或いは外出時、それらのものに科学以上の絶対の信頼の置けないことは、自明の理であります。

私は煩悶しました。科学を信ずべきか、妻を信ずべきか。私は日に日に憂鬱になり、元から無口だった私は、一層無口になりました。私のなすべき事は唯一つです。それは血液型のより以上の研究です。もしその結果従来の定説を覆すことが出来れば、同時に妻の貞淑が消極的に立証される訳です。従来の定説が破れなければ、妻は不貞の烙印を押されるのです。毛沼博士との処女時代の深い交際、危く免かれた危難、早すぎる妊娠、そうして、ああ、毛沼博士の血液型はB型なのです。

私はいかに努力しても、妻に対して日に日によそよそしくなるのを禁ずることが出来ませんでした。私は唯気違い馬のように、只管研究に没頭するばかりです。妻には無論血液型の事については一言も申しませんでした。妻は私がよそよそしくなったのは、私の本来の性格と、研究に熱心なる為と解していたと思います。彼女は私の冷い態度に反して、益々貞淑に仕えて呉れるのです。ああ、私は妻の貞淑が証明されるまで、次の子供を設けようとさえしませんでしたのに。