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Japanische Klassiker mit Furigana

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まちのにそうのはなし

街の尼僧の話

岡本 かの子

Lesen Sie 街の尼僧の話 (まちのにそうのはなし) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.445 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

弱見を見せまい為か涙をじっと堪えて居らしった御様子が、今も眼にはっきり残って居ります。

「あなたは助り度いなら私に叛いてはいけません。第一にあなたが私の云うことに従うかどうか、あなたは私に試されなさい。あなたの評判なピアノを私達に今弾いて聞かせなさい。ドイツの国歌を弾くのですぞ。あなたが私達を歓迎する表示だ。ドイツの国歌をですぞ。宜いか!」

私はあまりの事にお姫様が其処に倒れはなさらないかとお見上げ致しました。その時お姫様は倒れる代りに微な身ぶるいをなさった様です。

「弾きますか、ドイツの国歌を?」

「弾きます!」

と異常に強く聞えたのが本当にお姫様のお声でしたでしょうか。お姫様はそれからつかつかと次の部屋の方へ歩こうとなさいました。

「何処へ行きます」

とまた同じ上官が咎めました。

「着物を――着物をちゃんと着更えて来る」

日頃はあんなにも女らしい優しいお姫様が、男より強く仰いました。お姫様はその時、秋の午前の散歩服を召して居らっしゃったのでした。

お姫様は白い礼服にお着替えになりました。伯父御様のお死骸に一礼なさいますと、ピアノの前にお坐りになりました。