Japanische Klassiker mit Furigana
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はだかぎ
裸木
豊島 与志雄
Lesen Sie 裸木 (はだかぎ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.049 Zeichen · 33 Bildschirme
「おうお目がさめたの。」敏子が寄ってゆく。赤ん坊は大きな声を立てる。蚊帳が取りのけられて、白い布団、白い薄い毛布、白い着物、その何もかも真白な中から、赤い顔と赤味がかった髪の毛とが、もがき動いている。「おう可哀そうに、おっぱいの時間でしょう。」ぐらぐらした首筋、きつく握りしめたまん円い手、足をからめた長い着物の裾、その変に頼りない危っかしい全体が、敏子の膝に抱かれる。「御免下さい。」彼女はくるりと向うを向いて、襟を引き開けながら、赤ん坊に乳房を含ませる。甘っぽい乳のかすかな匂い。武田は大きく息をついて、庭の方を見る。樹々の一葉一葉に、輝かしい日が射している。静かな午後……。「そうれ、小父ちゃま、ばあー……。」据りの悪い頭をきょとんとさして、にこにこっと笑ったり、うぐんうぐんと饒舌ったり、時々思い出したように、機械人形のように、足をぴょんぴょん蹶り立てる。ほーと云った風に、武田が眼を円くする。眼だけが円くて、そのため額に皺が寄って、可笑しな老人じみた顔付である。敏子は白い歯並で晴れやかに、赤ん坊へ微笑みかけている。武田は抱かしてくれとは云わない。敏子も抱いてくれとは云わない。