Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はだかぎ

裸木

豊島 与志雄

Lesen Sie 裸木 (はだかぎ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.049 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

以前より落付も出来、重みもつき、前よりいくらか美しくなり、肉附も血色もよくなっていた。

「あなたはこの頃、何だか変に軽っぽくなりなすったようよ。どうなすったの。もう一人前のちゃんとしたお父さんじゃありませんか。」

「うむ、そうだそうだ。だから僕も考えてるんだ。」

「何を…。」

「しっかりしようとね。」

「あれですもの、じきに。冗談だか真面目だか、あなたはちっとも区別がないわ。」

「…………」

彼はいきなり敏子を抱き上げた。彼女は軽かった。それが満足なような不満なような、訳の分らない気持で、彼はふらふらと外に出歩いた。

佐野は夜更けてから、タクシーで帰ってきた。電車通りの角で降りて、それから三町ばかりのところを歩いた。

しいんと寝静まった薄暗い横丁だった。夜気が冷く頬に触れた。

彼はそういう場合のいつもの通り、半夜の相手の女のことなんかはもう遠く忘れかけていた。そして平素よりも遙に、落付いた真面目な気持になっていた。しみじみと人生を考える、そういう心の状態だった。

――俺は一体何のために生きてるんだ。

うそうそとそこいらを嗅ぎ廻ってる犬の側を、親しい気持で通りぬけて、ふと、ひどく淋しくなった。