Japanische Klassiker mit Furigana
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かっしょくのぐどう
褐色の求道
岡本 かの子
Lesen Sie 褐色の求道 (かっしょくのぐどう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.065 Zeichen · 14 Bildschirme
私は汽車に乗り遅れてはと、急いで停車場へ駆けつけた。
私は責任をヘッセの著書に譲り渡し、それで気が済んだつもりでいたが、そうは行かなかった。あれだけ虚無の魅力に牽付けられた疲れた人間が、なかなか文学や説明や詩で蘇らせられようとは思えなかった。そこで三度目のフロウナウ町行きとなった。せめて青年のその後の様子だけでも見たいと思ったからである。停車場のレストーランへ行くと、青年は女の連れと一緒に仏陀寺へ行ったということだったので、私も不必要な仏陀寺へ三度目の参詣をした。
急に春めいて来て、町の街路樹はすっかり萌黄の芽を吹き、家々の窓や墻根から色々の花さえちらほら見えた。寒さからのがれた空はたるんで、暖かい光の中に痴呆性の眼の色のようにぼんやりしていた。
仏陀寺の中を探し廻って私は、矢張りあの本堂の石碑の前で、青年と連れの女とに出会った。私が教えたように青年は手を合せ、連れの女も並んで同じ形をしていた。
礼拝が済んで青年は私の姿を見ると悦んだ顔色をして近寄って来た。
「あなたでしたか。もうお目にかかれないと思っていました」
それから派手な着物だが帽子とはちぐはぐな服装をしている連れの女を私に紹介した。