Japanische Klassiker mit Furigana
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スペインけんのいえ
西班牙犬の家
佐藤 春夫
Lesen Sie 西班牙犬の家 (スペインけんのいえ) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.131 Zeichen · 15 Bildschirme
何しろこの家の主人というのはよほど変者に相違ない。……待てよおれは、リップ・ヴァン・ヰンクルではないか知ら。……帰って見ると妻は婆になっている。……ひょっとこの林を出て、「K村はどこでしたかね」と百姓に尋ねると、「え? K村そんなところはこの辺にありませんぜ」と言われそうだぞ。そう思うと私はふと早く家へ帰って見ようと、変な気持になった。そこで私は扉口のところへ歩いて行って、口笛でフラテを呼ぶ。今まで一挙一動を注視していたような気のするあの西班牙犬はじっと私の帰るところを見送っている。私は怖れた。この犬は今までは柔和に見せかけて置いて、帰ると見てわっと後から咬みつきはしないだろうか。私は西班牙犬に注意しながら、フラテの出て来るのを待兼ねて、大急ぎで扉を閉めて出た。
さて、帰りがけにもう一ぺん家の内部を見てやろうと、背のびをして窓から覗き込むと例の真黒な西班牙犬はのっそりと起き上って、さて大机の方へ歩きながら、おれのいるのには気がつかないのか、
「ああ、今日は妙な奴に駭かされた。」
と、人間の声で言ったような気がした。はてな、と思っていると、よく犬がするようにあくびをしたかと思うと、私の瞬きした間に、奴は五十恰好の眼鏡をかけた黒服の中老人になり大机の前の椅子によりかかったまま、悠然と口にはまだ火をつけぬ煙草をくわえ