Japanische Klassiker mit Furigana
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スペインけんのいえ
西班牙犬の家
佐藤 春夫
Lesen Sie 西班牙犬の家 (スペインけんのいえ) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.131 Zeichen · 15 Bildschirme
依然、何の反響もない。留守なのかしら空家なのかしらと考えているうちに私は多少不気味になって来た。そこでそっと足音をぬすんで――これは何のためであったかわからないが――薔薇のある方の窓のところへ立って、そこから脊のびをして内を見まわして見た。
窓にはこの家の外見とは似合しくない立派な品の、黒ずんだ海老茶にところどころ青い線の見えるどっしりとした窓かけがしてあったけれども、それは半分ほどしぼってあったので部屋のなかはよく見えた。珍らしい事には、この部屋の中央には、石で彫って出来た大きな水盤があってその高さは床の上から二尺とはないが、その真中のところからは、水が湧立っていて、水盤のふちからは不断に水がこぼれている。そこで水盤には青い苔が生えて、その附近の床――これもやっぱり石であった――は少ししめっぽく見える。そのこぼれた水が薔薇のなかからきらきら光りながら蛇のようにぬけ出して来る水なのだろうということは、後で考えて見て解った。私はこの水盤には少なからず驚いた。ちょいと異風な家だとはさきほどから気がついたものの、こんな異体の知れない仕掛まであろうとは予想出来ないからだ。