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Japanische Klassiker mit Furigana

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おやというにじ

親という二字

太宰 治

Lesen Sie 親という二字 (おやというにじ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.004 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、空襲で家は焼かれ、その二十六になる末娘は大やけどをして、医者の手当も受けたけれど、象さんが来た、象さんが来た、とうわごとを言って、息を引きとったという。

「象の夢でも見ていたのでごいしょうか。ばかな夢を見るもんでごいす。けえっ。」と言って笑ったのかと思ったら、何、泣いているのだ。

象さんというのは、或いは、増産ではなかろうか。その竹内トキさんは、それまでずっともう永いことお役所に勤めていたのだそうだから、「増産が来た」というのが、何かお役所の特別な意味でも有る言葉で、それが口癖になっていたのではなかろうか、とも思われたが、しかし、その無筆の親の解釈にしたがって、象さんの夢を見ていたのだとするほうが、何十倍もあわれが深い。

私は興奮し、あらぬ事を口走った。

「まったくですよ。クソ真面目な色男気取りの議論が国をほろぼしたんです。気の弱いはにかみ屋ばかりだったら、こんな事にまでなりやしなかったんだ。」

われながら愚かしい意見だとは思ったが、言っているうちに、眼が熱くなって来た。

「竹内トキさん。」

と局員が呼ぶ。

「あい。」

と答えて、爺さんはベンチから立ち上る。