Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
とハガキを突きつけられたので矢張り代筆の依頼と分った。あの筆で書くには実際御足労ぐらいに相当するかも知れない。
「お安い御用です」
「子供衆でないと頼み悪いと思って先刻から待っていましたよ。馬鹿な話でさあ。家の人に逃げられたんですよ」
「御主人ですか?」
「冗談言っちゃいけないよ。私は奉公人じゃない。これでも職業婦人だよ。家の奴が逃げたのさ。亭主野郎さ。酒ばかり食ってのらくらしていやがるから叩き出してやったのさ。けれども真正に逃げられちゃ矢っ張り困るからね」
とお上さんは急に言葉が粗雑になった。
「何と書きましょう?」
と僕は度胆を抜かれて恐る恐る伺った。
「帰れって言ってやって下さい。私も今度丈けは料簡するし、昨夜親方が訪ねて来て建前があるって話だし、何の道帰れって書いてやって下さい」
とお上さんは声が大きい。
そこへ文一君が用を済ませて近寄った。
「代筆を頼まれたんだよ。一寸待ってくれ給え」
と断って置いて、
「拝啓、益御清栄奉賀候。昨晩親方お見えに相成り、建前有之由につき、何卒至急御帰宅被下度願上候。先日のことは呉れ呉れも私が悪く、今更後悔罷在候」
と僕が書いた通りお上さんに読んで聞かせた。