Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
とお父さんはこの間で懲りて、予め弁解した。
「いや、何う致しまして」
と佐久間さんは直ぐ診察にかかって、
「胸には異状ありません。少し下っているようですよ」
と検温器を挾んだ。
「何か熱の早く下る方法はありませんかな?」
「今日から又熱さましを差上げてあります。二三日の御辛抱です」
と何方も何方でいつも同じ問答をする。
「下ったですよ。七度六分です」
と佐久間さんは検温器を取り出した。
「それ御覧なさいませ」
とお母さんは嬉しがった。
「それじゃ今下ったんだ。先刻はひどかったよ」
とお父さんは稍面目ないようだった。それで茶の間へ戻ってからも、
「何うも子供の病気では心配しますよ。悪い方悪い方とばかり考えますからな」
と頻りに申開きをしていた。筆を執って衆愚に教える時の態度は跡形もない。親の悪口を言うのではないが、子供が病気をすると愚に返るのらしい。
「いや、それは何処でも然うですよ。私なぞも家の子供が病気になると、自分では手がつけられません。矢っ張り迷うんですな。しかし考えて見ると、人間は滅多に死ぬものじゃありませんよ。欧洲戦争の死亡率が二十パーセントかそこらでしたろう? 両方で殺し合っても、それぐらいのものです。