Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
学校から帰ればおやつを頂戴することに定っている。この頃は課外が忙しくて夕食直前になるけれども、権利を放棄して悪例を残すのも考えものだし、実際腹もへる。
「お母さん、絹子さんは芳夫さんと結婚なさるんですか?」
と僕はドウナッツを喰べながら訊いて見た。
「さあ、何うですかね」
「でもお父さんがこの間芳夫さんにお貰いなさいって勧めたじゃありませんか?」
「あれは冗談ですよ。子供がそんなことを口に出すものじゃありません」
とお母さんは僕を圧迫してしまった。
兎に角その翌日、絹子さんは前歯を二枚削り取って来て、
「厭やねえ、私、まるでお婆さんのようでしょう?」
と鏡ばかり見ていた。好いと思っても鏡を見る。悪いと思っても鏡を見る。実際鏡は女の魂だ。僕はお母さんの電話を考え出して一つ担いでやる気になった矢先、晩にお客さんがあったから、一寸利用してやった。お母さんばかりか絹子さんまで僕を子供扱いにするのが聊か不平だったのである。お客さんをお父さんのところへ取次いで茶の間へ戻ると、
「何誰?」
とお母さんが訊いたから、
「四谷の芳夫さん……」
とまで言って、ラジオを聴いていた絹子さんを顧みた。