Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
出世の妨げとも考えて、直ぐに染め始めました。艦長時代には恐らく真白でしたろうが、皆は漆黒と思っていました。大佐なら相応白いのがいますから、もう宜いのですが、今更自首する勇気もありません。妻もそんな必要はないと申すのです。そこで矢張り染め続けていますと、到頭悪事露見の日が参りました」
「悪いことは出来ませんよ」
「日露戦争後間もなくチブスに罹って横須賀の病院へ入院致しました。可成り手重くて二月ばかり隔離室に寝ていた後のこと、若い軍医が、『大佐殿のチブスには症状に特別のところがありましたから、実はお案じ申上げて居りました』と申しました。『然うかも知れない。大分苦しかった』と答えますと、『何うも不思議です。高熱の加減でしょうか、髪と髭がその通り針鼠のようになりました上に、頬髭だけは悉皆色素を失ってしまって真白ですよ』と注意してくれました。私は初めて気がつきました。染めていた下から白いのが生えて来たのです。頬は剃っていたから自然のままに白髯が伸びたのです。人間嘘をつくのは宜しくないと思って、私は『何あにこれは今まで染めていたのだ』と正直なところを打ち明けました。