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Japanische Klassiker mit Furigana

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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

とお母さんが同情したので、

「追々旗色が悪くなって来るようだから退却としよう。もうソロソロ杉山さんが見える時分だ」

とお祖父さんは逃げ腰になった。

「今日はお謡曲の日でございましたかね?」

とお母さんが尋ねた。

「然うだよ。やかましいかな?」

「いいえ、結構でございますわ。一度先生に御ゆっくりして戴きたいと思って居りましたが、何なら晩のお支度を致しましょうか?」

「然うさね。斯うっと……」

「別にお構い申上げませんから、些っとも面倒はございませんのよ。あの方御酒は召し上りますか?」

「大に召し上る方だが、ここを済ましてもう一軒男爵家とかへ廻るらしいから、酔わせない方が宜いだろう。今度都合を訊いてからにしよう。お正月でも宜い」

と言って、お祖父さんは離れへ帰って行った。

浩二はこの通り姉や妹の間に問題を起すくらい年寄の愛を恣にしている。お父さんお母さんに於ても小さいものは余計目をかけるのは自然の情愛である。随って浩二の言行には逸話となって伝えられるものが多い。泥棒を獣と思い込んでいたのは敏子が今しがた引き合いに出したほど顕著な実例である。それは震災の年の夏だったから、もう三年前のことになる。