Japanische Klassiker mit Furigana
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やくほんファウストについて
訳本ファウストについて
Lesen Sie 訳本ファウストについて (やくほんファウストについて) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.916 Zeichen · 12 Bildschirme
さてもう全部訳してしまってからの事である。ある日化学をしている友人が来たので雑談をしているうちに、私がこう云った。「ギョオテは詩人で同時に自然学者だ。それにファウスト第二部で悪魔が地の下に堕されて、苦しまぎれに上からも下からも臭い瓦斯を出したと云う処に、硫酸を出したと云ってある。硫化水素でも出したか知らぬが、硫酸は出すまい。」こう云てしまって、ふと原文を見る気になってゾフィインアウスガアベを出して見た。すると「シュウェエフェルスタンク・ウント・ゾイレ」と書いてあって、「硫黄の臭と酸と」と云うことになっている。硫酸では無い。友人が覗いて見て、「硫化水素も酸だから、硫化水素だとしたところで、それで好い」と云って笑った。私は驚いてハルナック本を出して見ると、「ゾイレ」の前に「ヒイフェン」の標識がある。それで硫酸になったのである。ハルナックの本で私の発見した誤はこれ一つで、それも偶然発見したのである。第二部の正誤には硫酸の硫の字を削ることにした。
訳本ファウストが出ると同時に、近代劇協会は第一部を帝国劇場で興行した。帝国劇場が五日間連続して売切になったのは、劇場が立って以来始ての事だそうだ。