Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Lesen Sie 註文帳 (ちゅうもんちょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.770 Zeichen · 67 Bildschirme
やがて、初夜すぐるまでは、縦横に乱れ合った足駄駒下駄の痕も、次第に二ツとなり、三ツとなり、わずかに凹を残すのみ、車の轍も遥々と長き一条の名残となった。
おうおうと遠近に呼交す人声も早や聞えず、辻に彳んで半身に雪を被りながら、揺り落すごとに上衣のひだの黒く顕れた巡査の姿、研屋の店から八九間さきなる軒下に引込んで、三島神社の辺から大音寺前の通、田町にかけてただ一白。
折から颯と渡った風は、はじめ最も低く地上をすって、雪の上面を撫でてあたかも篩をかけたよう、一様に平にならして、人の歩行いた路ともなく、夜の色さえ埋み消したが、見る見る垣を亙り、軒を吹き、廂を掠め、梢を鳴らし、一陣たちまち虚蒼に拡がって、ざっという音烈しく、丸雪は小雪を誘って、八方十面降り乱れて、静々と落ちて来た。
紅梅の咲く頃なれば、かくまでの雪の状も、旭とともに霜より果敢なく消えるのであろうけれど、丑満頃おいは都のしかも如月の末にあるべき現象とも覚えぬまでなり。何物かこれ、この大都会を襲って、紛々皚々の陣を敷くとあやまたるる。
さればこそ、高く竜燈の露れたよう二上屋の棟に蒼き光の流るるあたり、よし原の電燈の幽に映ずる空を籠めて、きれぎれに冴ゆる三絃の糸につれて、高笑をする女の声の、倒に田町へ崩るるのも、あたかもこの土の色の変った機に乗じて、