Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Lesen Sie 註文帳 (ちゅうもんちょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.770 Zeichen · 67 Bildschirme
端近になったがいと少く清しき声で、
「辻が帰っておいでかい。」
「あれ、」と低声に年増が制して、門なる方を憚る気勢。
「可かったら開けて下さい、こっちにお知己の者じゃあないんです、」
「…………」
「この突当の家で聞いて来たんですが、紅梅屋敷とかいうのでしょう。」
「はい、あの誰方様で、」
「いえ、御存じの者じゃアありませんが、すこし頼まれて来たんです、構いません、ここで言いますから、あのね。」
「お開けよ。」
「…………」
「こっちへさあ。可いわ、」
ここにおいて、
「まあ、お入りなさいまし。」と半ば圧えていた格子戸をがらりと開けた。框にさし置いた洋燈の光は、ほのぼのと一筋、戸口から雪の中。
同時に身を開いて一足あとへ、体を斜めにする外套を被た人の姿を映して、余の明は、左手なる前庭を仕切った袖垣を白く描き、枝を交えた紅梅にうつッて、間近なるはその紅の莟を照した。
けれども、その最もよく明かに且つ美しく照したのは、雪の風情でなく、花の色でなく、お杉がさした本斑布の櫛でもない。濃いお納戸地に柳立枠の、小紋縮緬の羽織を着て、下着は知らず、黒繻子の襟をかけた縞縮緬の着物という、寮のお若が派手姿と、障子に片手をかけながら、身をそむけて立った脇あけをこぼるる襦袢と、指に輝く指環とであった。