Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちかいのまき
誓之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 誓之巻 (ちかいのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.856 Zeichen · 16 Bildschirme
」
涙ながら、
「そんなことおっしゃるもんじゃありません。」
「いいえ、どうします。」と強くいえり。
「そんなことを、僕は知りません。」
「知らない、いけません、みんな知っている。かわいそうで、眠られません。眠られません。上杉さん、私、頼みます、秀、秀。」
予は頭より氷を浴ぶる心地したりき。折から風の音だもあらず、有明の燈影いと幽に、ミリヤアドが目に光さしたり。
「秀さんのこと思わないで、勉強して、ね、上杉さん。」
予は伏沈みぬ。
「かわいそう、かわいそうですけれども、私、こんな、こんな、病気になりました。仕方がない、あなたどうします。かわいそうで、安心して死なれません。苦しい、苦しい、かわいそうと思いませんか。私、あなたをかわいがりました。私を、私を、かわいそうとは思いませんか。」
一しきり、また凩の戸にさわりて、ミリヤアドの顔蒼ざめぬ。その眉顰み、唇ふるいて、苦痛を忍び瞼を閉じしが、十分時過ぎつと思うに、ふとまた明らかにけり。
「肯きませんか。あなた、私を何と思います。」
と切なる声に怒を帯びたる、りりしき眼の色恐しく、射竦めらるる思あり。
枕に沈める横顔の、あわれに、貴く、うつくしく、気だかく、清き芙蓉の花片、香の煙に消ゆよとばかり、亡き母上のおもかげをば、まのあたり見る心地しつ。