Japanische Klassiker mit Furigana
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むほんろん(そうこう)
謀叛論(草稿)
徳冨 蘆花
Lesen Sie 謀叛論(草稿) (むほんろん(そうこう)) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.699 Zeichen · 19 Bildschirme
今度の事件でも彼らは始終皇室のため国家のためと思ったであろう。しかしながらその結果は皇室に禍し、無政府主義者を殺し得ずしてかえって夥しい騒擾の種子を蒔いた。諸君は謀叛人を容るるの度量と、青書生に聴くの謙遜がなければならぬ。彼らの中には維新志士の腰について、多少先輩当年の苦心を知っている人もあるはず。よくは知らぬが、明治の初年に近時評論などで大分政府に窘められた経験がある閣臣もいるはず。窘められた嫁が姑になってまた嫁を窘める。古今同嘆である。当局者は初心を点検して、書生にならねばならぬ。彼らは幸徳らの事に関しては自信によって涯分を尽したと弁疏するかも知れぬ。冷かな歴史の眼から見れば、彼らは無政府主義者を殺して、かえって局面開展の地を作った一種の恩人とも見られよう。吉田に対する井伊をやったつもりでいるかも知れぬ。しかしながら徳川の末年でもあることか、白日青天、明治昇平の四十四年に十二名という陛下の赤子、しかのみならず為すところあるべき者どもを窘めぬいて激さして謀叛人に仕立てて、臆面もなく絞め殺した一事に到っては、政府は断じてこれが責任を負わねばならぬ。