Japanische Klassiker mit Furigana
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なぞのおんな
謎の女
平林 初之輔
Lesen Sie 謎の女 (なぞのおんな) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.077 Zeichen · 18 Bildschirme
それでも、彼はそれを変だとは言えなかった。
「そうですね、おかしいかもしれませんね」
「Mホテルの室にはベッドは二つあるでしょうか?」
「そりゃ二人の室なら、ベッドは二つありますが――」
しかし、夫婦でない二人の男女が、たといベッドは別になっていても、同じ室に鍵をかけて寝るということは容易なことではなかった。もし道子が誰かの夫人で、二人で同じ室にいるところを夫に発見されたら――龍之介はいまさら大変なことを承知してしまったと思った。しかし、いったん承知したことをいまさら、室が同じなら断るというわけにもいかなかった。
「あたし、夫婦といいながら別々の室にいちゃ、かえってホテルの人たちの注意をひいて、眼をつけられやしないかと思いますわ」
「それもそうですね、では、かまうもんですか、一つ室でいいじゃありませんか」
「貴方さえ承知して下されば、あたしの方はそれに越したことはありませんけれど。でも嫌な気持ちがなさるでしょう。こんなことを女の方からお願いしちゃ」
「お互いに信じあってさえいればなんでもないですよ。心のうちは光風霽月ですから」
龍之介はこう言ったものの、彼の心中は決して光風霽月じゃなかった。