Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ようきょくこくびゃくだん

謡曲黒白談

夢野 久作

Lesen Sie 謡曲黒白談 (ようきょくこくびゃくだん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.288 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

正に毒草を変じて薬となし、糞土を烹て醍醐をなす底の怪手腕と称すべしで、謡曲の教外別伝の極地、声色の境界を超越した、玄中の玄曲を識得した英霊漢というべしである。かくの如きに到っては、到底吾人味噌粕輩は申すに及ばず、斯道五流の大家と雖も倒退三千里で、畢竟百説不会只識者の知に任せ、達者の用に委して、遥に三拝九拝して退くより他に途はないのである。

聴き手は注意して択むべき事

自分も実は大の聴聞脅迫党で、今まで随分謡曲嫌いを製造した覚えがあるが、ここに只一つ無類飛び切りの謡曲好きに出会して、却てヘトヘトに悩まされて懲り懲りした珍談がある。その謡い好きというのは拙者の祖母で、今年九十三歳になって中風の気味で郷里福岡の片傍りの伯父の家に寝ているのであるが、これをこの間久方振りに帰郷した時見舞いに行って見ると、折節伯父伯母は下女を残して外出の留守で、小供は皆学校に行っているし、祖母は只一人奥の六畳に霞んだ眼をして寝ているところであった。拙者は兼てから祖母が非常に記憶力が減退していると聞いていたが、会って見ると左程でもなく、よく拙者を記憶していて、いつ東京から帰ったかとか、幾つになったかとか、嫁はまだ貰わぬかなど聞いた。