Japanische Klassiker mit Furigana
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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
Lesen Sie 負けない男 (まけないおとこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.799 Zeichen · 202 Bildschirme
「社務多忙ですよ。訊かないことは申上げられません」
と相手は突っ込んだ。
「しかし受附として、それぐらいの親切気があって欲しいものです」
「大勢見えるんですから、一々御機嫌を取っていられませんよ」
「御機嫌を取れとは言わない!」
と堀尾君は声を励ました。
「…………」
「此奴の態度が礼を欠いている」
「此奴とは何です? 君の態度こそ礼を欠いていませんか?」
と事務員は直ぐに揚げ足を取った。そこへ別の来訪者が現れたものだから、堀尾君は退かなければならなかった。
「もう宜い、面倒だ」
と投げつけるように言って、トットッと出て来たが、悉皆遣り込められたような心持がして、不愉快の極みだった。あんな奴等を相手にしてと後悔の念も手伝っていた。
「何うもおれはいけない」
と覚えず呟いた。
時計を見たら、十一時過ぎていた。今頃来なければお昼過だと受附が言ったが、成程と思い当るところがあった。今にも来るように考えていて、その都度未だお見えになりませんと言ったのかも知れない。然うだとすると、一概に極めつけたのは少し分別が足りなかったと思った。
「あゝ、そんなことは何うでも宜い」
と堀尾君は頭の中のこだわりを一掃することに努めた。