Japanische Klassiker mit Furigana
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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
Lesen Sie 負けない男 (まけないおとこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.799 Zeichen · 202 Bildschirme
又退屈の日が続いた。直ぐ行くと約束したものゝ、後を追って来たように思われては困る。奥田君丈けなら兎も角、両親や弟妹へも手前がある。しかし行きたい。懐しい。或朝「民友」の個人消息欄に、
△女子大学生 長谷川文子氏 昨日大谷村へ帰省。
とあるのを見て、
「行こう。明日立つ」
と即座に決心した。女子大学生という活字が、これ丈け利いたのである。人間迷っていると一寸の刺戟で自殺さえする。斯ういう精神状態では就職問題が宙ぶらりんでいるのも無理でない。
鞆に着くと去年に弥勝る歓迎だった。道子さんのお婿さんということが知れ渡っていて東京ほどの遠慮がなかった。着いた晩、奥田君のお父さんが稍※(二の字点、1-2-22)改まって祖先の話をした。十三代続いた旧家だという。
「先々代が半分近くへらしました。それから先代がそれを又四半分ほどへらしました。俺が又極く下手で、段々いけなくなりますから、早くこれに譲って引っ込みます。何うぞこれの力になってやって下さい。道子のことも宜しくお願い申上げます」
とあった。
「私こそ何うぞ宜しく」
と正晴君は膝に手をついてお辞儀をした。老人も老夫人も頼もしそうに打目戍った。