Japanische Klassiker mit Furigana
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ふしょうしたせんろとつき
負傷した線路と月
小川 未明
Lesen Sie 負傷した線路と月 (ふしょうしたせんろとつき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.078 Zeichen · 9 Bildschirme
そして、青々としていた空をしだいに征服して、いつしか太陽の光すら、まったくさえぎってしまったのです。
焼けるように、赤くいろどられていた野は、急に涼しく、うす暗くかげったのでした。その時分から雷の音は、だんだん大きく近づいてきたのでした。
レールも花も、声をたてずに、ものすごくなった空の模様をながめていました。雨がとうとう降ってきたのであります。雨は花に降りそそぎました。また、レールの上に降りかかりました。そしてレールの熱くなった体を冷やして、その傷痕を洗ってやりながら、「まあ、かわいそうに……。」と、雨はいいました。
レールは、涙ぐみながら、雨に向かって、今日、冷酷な汽罐車に傷つけられたこと、太陽が、これまでというものは、毎日、毎日、用捨なく、頭から照りつけたことなどを話しました。すると雨は、こういいました。
「それは、お気の毒なことです。私はあつくなっていたあなたの体をひやしてあげました。私たちはもうじきにここを去らなければなりません。その後にはきっと月が出るでありましょう。月は、太陽とはまったく気性がちがっています。そして、万物の運命をつかさどる力は、いまこそ太陽のようになくても、昔は、えらかったものだそうです。