Japanische Klassiker mit Furigana
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びんぼうをうる
貧乏を売る
山之口 貘
Lesen Sie 貧乏を売る (びんぼうをうる) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.692 Zeichen · 12 Bildschirme
」と、ぼくの分も女房に渡したのである。
その後しかし、週刊誌には、女房の写真もぼくの写真も出なかった。女房は、週刊誌の出るころになると、駅前の本屋に寄ってたしかめて来ては、「こんども出ていないが、どうしたんでしょうね。」と云い云いしていたのであるが、「あれは雑誌に出たところで、原稿料にはならないよ。」と云うと、それっきり、写真のことも週刊誌のことも云わなくなったのである。
ぼくのところではこのごろ、原稿の依頼が来ると、「また貧乏物語りですか。」と女房が云うのである。中学二年生のミミコまでが、「貧乏物語りは、もうよしなよパパ。」と来るのである。だが、ぼくにしてみれば、ぼくはもちろんのこと、第一そんなことを口にするような女房こどものいやがる貧乏などを、好んで大事に手許に置いているのではないのであって、買い手さえあれば、小説新潮にでも洗いざらい売り飛ばしてしまって、多少の金でも握ってさっぱりしたいのである。こんな意見を持っているぼくに比べると、女房こどもはまだ貧乏を知らないわけで、せいぜい一枚の着物も買ってもらえないことを知っている程度なのであるが、それはそのうち、貧乏の売り上げ金の様子を見てから、なんとか着物一枚ぐらいのことはきばってやりたいと、ぼくはおもわないではいられないのである。