Japanische Klassiker mit Furigana
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ひんぷこうふこう
貧富幸不幸
幸田 露伴
Lesen Sie 貧富幸不幸 (ひんぷこうふこう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.021 Zeichen · 12 Bildschirme
甘味少ければ美味ならずとするのと、貧即ち不幸福とするのとは、甚だ酷く相肖ている。その実を云えば、貧でも幸福があり得、富んでも不幸があることは、少しく世相を看破した人にあっては誰も認知していることであることは、喩えば砂糖の有無多少が必ずしも美味不美味に正比例をなさぬと同じきが如くに受取られるのである。多数の厨婦が砂糖や味醂の崇拝と妄用によって却って真の美味を害する結果を生ずると同様に、多数の人々は富の崇拝、貧のいやがりに因って、却って真の幸福を自害自損している。貧を厭い富を欣ぶの念を今少し緩くするか、もしくはこれを放下しさえすれば、幸福を生じ、もしくは幸福であり得るものを、貧即不幸福の俗見に囚わるることの甚しい為に、却て幸福を失していることは甚だ多い。貧即幸福と云っては矯激になるが、貧を厭うの念をさえ忘るれば即座に幸福であり得るものを、厭貧の念に駆られて悶々戚々の境を現じて居る者の甚だ多いのは、その人の為に痛惜に堪えぬことである。人皆原憲顔回たれというのでは無いが、蓬樞甕箪食瓢飲でも幸福の存し得るものであることを会し得て的確ならば、貧もまた然のみ厭わねばならぬもので無いことは明らかである。