Japanische Klassiker mit Furigana
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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
Lesen Sie 貧民倶楽部 (ひんみんくらぶ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.333 Zeichen · 111 Bildschirme
避けて通らん術も無く、引返すべき次第にあらねば、退けよ、退れと声を懸くれど、聞着けざるか道を譲らず、馬丁は焦立ちてひらりと寄せ、屑屋の襟首むずと攫めば、虫の呼吸にて泣叫ぶを、溝際に突放して、それというまま砂烟を揚げぬ。
この時酒屋の檐下より婀娜たる婦人立出でたり。薄色縮緬の頭巾目深に、唐草模様の肩掛を被て、三枚襲の衣服の裾、寛闊に蹴開きながら、衝と屑屋の身近に来り、冷然として、既に見えざる車を目送しつつ、物凄き笑を漏らせり。屑屋は呻吟の声を絶たず。婦人はその顔を瞰下して、「こう、太の字太の字。」
「おい。」と眼を開けば、
「もう可い、起きな。何という不景気な顔色だよ。」
「笑いごっちゃアありませんぜ。根っから儲からねえ役廻だ。」
と屑屋は苦も無く起上りぬ。健全無病の壮佼なり。知らず何が故に疾病を装いて、貴婦人の通行を妨げしや。
頬被を取りて塵を払い、「危険々々。御馬前に討死をしようとした。安くは無い忠臣だ。」
婦人は打笑み、「その位な事はしたって可いのさ。」
「あんまり好かあねえ。何しろ対手が四足二疋だ。」
「踏まれたら因果よ。白馬を飲む祟りだわな。」
「可笑くもねえ。