Japanische Klassiker mit Furigana
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にせもの
贋物
葛西 善蔵
Lesen Sie 贋物 (にせもの) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.476 Zeichen · 43 Bildschirme
やはりお持ち帰りになった方がお得でしょう」
仕事の邪魔された上に、よけいな汚らわしいものを見せられたといったような語気も見えて、先生はいろいろなことを言って聞かしたが、悄気きった眼の遣り場にも困っているらしい耕吉の態を気の毒にも思ったか、
「しかし直入さんはあなたのお国の方へお出でになったことがありますかね? お出でになったようなことがあると、あるいは真物かもしれませんね。それから蕃山の手紙というのは私には解りませんから、これも相当の金になるかもしれませんね。何しろいずれもあまり古くから家に伝ったものではないようですね」
耕吉は最後の一句に止めを刺されたような気がして、恐縮しきって、外へ出た。
銀座の方へ廻ると言って電車に乗った芳本と別れて、耕吉は風呂敷包を右に左に持替えて、麹町の通りを四谷見附まで歩いた。秋晴の好天気で、街にはもう御大典の装飾ができかかっていた。最後の希望は直入と蕃山の二本にかかった。
そこの大きな骨董屋へはいってまず直入を出したが、奥から出てきた若主人らしい男はちょっと展げて見たばかしで巻いてしまった。たいしたえらいものではないからあるいは真物かもしれないという気で、北馬蹄斎の浮世絵も見せたが、やはり同じ運命であった。