Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にせさつじけん

贋紙幣事件

甲賀 三郎

Lesen Sie 贋紙幣事件 (にせさつじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.495 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

森君は何か考えながら黙って歩き出した。森君が考え事をしている時に、うっかり話しかけると怒るので、僕も矢張り黙って肩を並べて歩いて行った。

一軒の百姓家の前に来ると、十か十一位の女の子がぼんやり往来を眺めながら立っていた。森君は何と思ったか、女の子の傍に寄って訊いた。

「このへんにペンキ屋さんがある?」

女の子は首を振った。森君は又訊いた。

「飛山さんて家どこ?」

すると、女の子は急に顔をしかめて、私達を軽蔑したような眼でジロリと見たかと思うと、ぷいと向うの方に行ってしまった。

ああ、僕はその訳を知っている。いつか、島内君の時もそうだったけれども、飛山君は可哀そうに今この村の人に排斥されているのだ。その訳は、一体飛山君のうちは貧乏で、とても飛山君を中学へなんか出せないのだけれども、飛山君が学問が好きでよく出来るものだから、無理にせがんで中学に入れて貰ったので、飛山君は苦学をしているんだ。朝早く起きて近所の牧場へ行って、牛乳を搾ったり、いろいろの用をして、それから遠い道を学校まで通って来るのだ。学校から帰れば又人の家へ働きに行く。そんなに働きながら森君にまけない位よく出来るのだから全く偉いと思う。