Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいかしゃ
赤い貨車
宮本 百合子
Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme
「ねえ、奥さん、本当の主婦ならこれを見落しゃしませんよ、たった九十五カペイキ、お買いなさい奥さん」
二人の鶏売りにはさまれ、女は怒ったように、
「駄目! 駄目!」
と叫んで一そう早く歩き出した。
「わたしは買わないよ、いらないっていったら!」
行手にはもう別の人だかりがあり、鮭の切売りを見物しているのであった。
「ナースチャ!」
肉売り店の前に立って少し口をあけ、面白そうにその様子を見ていたナースチャは、びっくりしてうしろを向いた。
「さ、これ」
アンナ・リヴォーヴナは犢の骨付肉を新聞でつまんでナースチャの籠へ入れた。
「駄目だよ。さらわれちゃ」
女が二人ならんで足許の箱に玉子をひろげていた。ナースチャが来かかった時、年よりの方の女が、急にあわてて箱をもち上げ、
「来たよ」
とささやいた。あわててもう一人の女も箱を持ち上げ逃げるかまえをしたが、そちらを見て、
「籠をもってる」
安心して、再び玉子の箱を元のように足許に下した。直ぐ巡査が現れた。巡査も買物で、ほかの群集の男女と同じに籠をぶら下げ、玉子売の隣で胡瓜漬売の前にたたずんだ。ナースチャは顔を上に向けて笑った。