Japanische Klassiker mit Furigana
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くまとしゃしょう
赤い鳥代表作集 2
木内 高音
Lesen Sie 赤い鳥代表作集 2 (くまとしゃしょう) von 木内 高音 (きうちたかね) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 14.043 Zeichen · 29 Bildschirme
「こんなにならないうちに、なんとかして売ってしまうわけにはいかないもんでしょうか。安くでもして……。」
そうすると、おかみさんは、要吉をにらみつけていいました。
「生意気おいいでないよ。なんにもわかりもしないくせに。そうそう安売りした日にゃあ商売になりゃあしないよ。」
「でも……」要吉は、もじもじしながらいいました。
「すてっちまうくらいなら、ただでやった方がまだましですね。」
要吉は、それをいったおかげで、晩の食事には、なんにももらうことができませんでした。要吉は、お湯にもいかずに、空き腹をかかえて、こちこちのふとんの中にもぐりこまねばなりませんでした。
要吉は、その晩、ひさしぶりにいなかの家のことを夢に見ました。ある山国にいる要吉の家のまわりには、少しばかりの水蜜桃の畑がありました。梅雨があけて、桃の実が葉っぱの間に、ぞくぞくとまるい頭をのぞかせるころになると、要吉の家の人びとはいっしょになって、そのひとつひとつへ小さな紙袋をかぶせるのでした。要吉の家では、その桃を、問屋や、かんづめ工場などに売ったお金で一年中の暮しをたてていたのです。夏の盛りになると、紙袋の中で、水蜜桃は、ほんのりと紅く色づいていきます。