Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.864 Zeichen · 44 Bildschirme
こんな可哀そうな者のとこへだけ、選りに選って厄介が持ちこまれるというわけがわかりません、――へえ、なにか仰しゃいましたか」
「話のあとを聞こう」と登は云った。
金兵衛は話に戻って、続けた。
それはまさにこみいった話であった。六助には妻子も身寄りもない、と信じていたのであるが、その朝早く、一人の老人がその四人きょうだいを伴れて来て、「六助の孫である」と云った。金兵衛はすぐには信じられなかったが、ともかく老人の話すのを聞いた。――老人は京橋小田原町五郎兵衛店という貸家の差配をしてい、名は松蔵、年は六十二歳だと云った。老人はそのとおりを、きちんと云ったのだ。かのえね(庚子)の年の生れで、ちょうど六十二になります、名は松蔵、かかあは三年まえに死にました。
きちんとしたことの好きな性分なのだろう、彼の差配している長屋に、富三郎という男の一家が越して来たのは、まる五年と三月十五日まえのことであった、というふうに話した。
富三郎は指物職だといった。妻はおくにといって、子供が三人あり、おとみはまだ乳ばなれまえであった。指物職だとはいったが、富三郎は怠け者で、ぶらぶらしているほうが多く、生活はいつも窮迫していて、たちまち近所じゅう借りだらけになった。