Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.864 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

松蔵はいちどおくにを呼んで訊いてみた。それは一昨年の十月九日のことだった、と松蔵は云ったそうであるが、おくには口を濁して、はっきりしたことは語らなかった。

――父はいるが、わけがあって義絶同様になっている、どうしてもこっちから会いにゆくことはできない。

そう云うだけであった。

富三郎には悪いなかまができ、ぐれ始めて、仕事などまったくしなくなったし、三日、五日と家をあけるようなことが続いた。このあいだに又次が生れたので、生活はますます苦しくなった。すると七日まえ、夜の十時ころのことだったが、おくにが差配の家へ訪ねて来た。松蔵は寝ていたが、ぜひ話したいことがあるというので、おくにを入れ、話を聞いた。

――このあいだの御触書にあったことは本当だろうか。

とおくにがまず訊いた。

それは盗賊を訴人した者に、「銀二十五枚を与える」という触書のことであった。芝愛宕下の南宗院という寺へ三人組の賊がはいり、寺宝を幾つかぬすみ出した。その中に金銅の釈迦像があり、千年もまえのなにがしとかいう高名な仏師の作で、日本じゅうに幾躰しかない貴重なものだという。賊が無知で、もし鋳つぶしでもされては取り返しがつかない。