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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.864 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はそんなふうに云うが、おくには彼が母と逢ったこと、それは母の稼いだものだということを察していた。母にはそれほど彼が大事だったのだ。だから死ぬときも彼だけにみとってもらいたいのであろう、おくにに会えば、みれんと嫉妬とで、死にきれない思いをする。それが自分でわかっているのだ、とおくには思った。

「あたしは葬式にもいきませんでした、いまでも、お墓がどこにあるのかさえ知りません」とおくには云った、「供養してもおっ母さんはよろこばないでしょうから、仏壇も拵えませんでした、たましいがあるとすれば、おっ母さんはいまでもあたしを憎んでいると思います」

登はうしろ首が寒くなるように感じた、死んでから十年も経つ母が、いまでも自分を憎んでいると思うという、登には理解しがたい情痴の罪の根深さ、妄執のすさまじさといったものが、おくにの表現がむぞうさであるだけよけいに、まざまざとあらわれているように思えた。おくにはなお話し続けていたが、やがて去定はそれを遮った。

「そこからあとのことは知っている」と去定は云った、「六助はおまえに便りをしていたのだな」

「ええ、おっ母さんが死んでからまもなく、神谷町のうちへ来ました」