Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.384 Zeichen · 41 Bildschirme
しかし、家族や使用人の多い家なので、座敷牢を造ったり、そこへ檻禁したりすることは世間がうるさい。養生所の中へ家を建てるから、そちらで治療してもらえまいか、と親が云った。娘の狂気が治るにしろ、不治のまま死ぬにしろ、その建物は養生所へそのまま寄付するし、入費はいくらでも出す。そういうことで、一昨年の秋に家を建て、お杉という女中を伴れて、娘が移って来たのであった。
「あの建物は全体が牢造りなんです」と津川は云った、「中は二た部屋に勝手があって、炊事も洗濯もぜんぶお杉がやるんです、必要な日用の品は、三日にいちどずつ実家から持って来るんですが、お杉が鍵を持っていて、家の中へは誰もいれないし、娘も一人では決して外へ出しません、あの家へはいるのは赤髯だけですよ」
「治療法があるんですか」
「どうですかね」と津川は首を振った、「治療というよりもときどき起こる発作のほうが問題らしいですよ、そのために赤髯が特に調合をした薬をやるんですが、そうそう、さっきお杉が取りに来たのがその薬なんだが、赤髯は絶対にほかの者には調合させないし、ひじょうに効果のいい薬らしいですよ」
殺人淫楽、と登は心の中で思った。