Japanische Klassiker mit Furigana
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せきがいせんおとこ
赤外線男
海野 十三
Lesen Sie 赤外線男 (せきがいせんおとこ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.889 Zeichen · 78 Bildschirme
いつもの例によれば、ここへ誰か遺族が顔色をかえて駈けこんでくるのが筋書だったが、どうしたものか何時まで経っても引取人が現れない。告知板に掲示をしてある外、午後一時のラジオで「行路病者」の仲間に入れて放送もしたのであるが、更に引取人の現れる模様がなかった。これだけの大した身なりの婦人で、引取人の無いのは不思議千万だと署員が噂さし合っているところへ、待ちに待った引取人が現れた。それは轢死後、丁度十四時間ほど経った其の日の真夜中だった。
それは隅田乙吉と名乗る東京市中野区の某料理店主だった。彼はそんな商売に似合わぬインテリのように見うけた。警察の卓子の上に拡げられた数々の遺留品を一つ一つ手にとりあげながら、彼はコンパクト一つにもかなり明瞭な説明をつけ加えた。轢死人は彼の末の妹だったのだ。
「このコンパクトですがネ、梅子――これは死んだ妹の名前なのです、梅子はもう五年もこのコティのものを使っていましたよ。ごらんなさい。蓋をあけてみると、この乱暴な使い方はどうです。あいつの性格そのものですよ。妹は今年二十四になりますが、どっちかというと不良の方でしてネ、それも梅子自身のせいというよりも私達同胞もいけなかったんです。