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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかごうしくろうえもんのむすめ

赤格子九郎右衛門の娘

国枝 史郎

Lesen Sie 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.174 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

船の中から老武士が髯を撫しながら悠然と云った。それは志摩卜翁であった。

「殿様、塩梅が悪いそうだね」

「どうも体がよくないよ」

「若い女子ばかり傍へ引き付け、あんまり不養生さっしゃるからだ」

「アッハハハこれは驚いた。すこし攻撃が手酷どすぎるぞ。とは云え確かに一理はあるな。実は俺も考えたのじゃ。どうも運動が足りないようだとな。そこで投網をやりだしたのさ」

「投網結構でございますよ。いい運動になりますだ。……おおもうここは木津川口だ。そろそろ網を入れましょうかな。あッ、畜生! これは何だ!」

「どうした?」と卜翁は膝を立てた。

「お客様だア! 土左衛門でごわす!」

不思議な邂逅

「なに、水死人だ? それ引き上げろ!」

卜翁は烈しく下知をした。そうして自分も手伝って若い女の死骸を上げた。

「漁は止めだ。船を漕いで一刻も早く陸へ着けろ」

「へえへえ宜敷うござります」

漁師はすっかり狼狽してただ無闇と櫓を漕いだ。

卜翁は女の鳩尾の辺りへじっと片手を当てて見たが、

「うむ、有難い、体温がある。手当てをしたら助かるであろう。まだ浦若い娘だのに殺してしまっては気の毒だ。爺々もっと漕げ!」