Japanische Klassiker mit Furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Lesen Sie 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.174 Zeichen · 33 Bildschirme
……ところで妾はたった一つだけ訊きたいことがあるのだよ」
「そりゃ一体どんなことだね?」
しかたなく忠蔵はこう云った。
「他でもないが二十日ほど前、それも夜の夜中にね、大阪難波桜川辺りを通ったことはなかったかね?」
――そりゃこそお出でなすったは。こう忠蔵は思ったもののそんな気振はおくびにも出さず。
「いいや、ないね。通ったことはない」
「それでもその時のお客というのがそれこそお前さんと瓜二つだがね」
「夜目遠目傘の中他人の空似ということもある」
「それじゃやっぱり人違いかねえ」
お袖はじっと思案したが、
「なるほど、人違いに相違ない。お前さんがあの時のお客なら妾の顔を見るや否や忘れて行ったお金のことを直ぐに訊かなければならないものね」
「へえ、それではその野郎は財布でも忘れて行ったのかね!」
わざととぼけて忠蔵は訊く。
「しかもお前さん二百両という大金の入った財布をね」
「おやおや広い世間にとぼけた野郎があるものだね」
ポンと自分の額を叩き、
「夜鷹を買って財布を落とし、それを姐御に横取りされ……」
「エヘン」とこの時、丸窓の内から、咳の声が聞こえてきた。気が付いた忠蔵は苦笑をし。