Japanische Klassiker mit Furigana
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かけこみうったえ
走れメロス
Lesen Sie 走れメロス (かけこみうったえ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.745 Zeichen · 112 Bildschirme
家財道具を、あちこちの友人に少しずつ分けて預かってもらい、身のまわりの物だけを持って、日本橋・八丁堀の材木屋の二階、八畳間に移った。私は北海道生まれ、落合一雄という男になった。流石に心細かった。所持のお金を大事にした。どうにかなろうという無能な思念で、自分の不安を誤魔化していた。明日に就いての心構えは何も無かった。何も出来なかった。時たま、学校へ出て、講堂の前の芝生に、何時間でも黙って寝ころんでいた。或る日の事、同じ高等学校を出た経済学部の一学生から、いやな話を聞かされた。煮え湯を飲むような気がした。まさか、と思った。知らせてくれた学生を、かえって憎んだ。Hに聞いてみたら、わかる事だと思った。いそいで八丁堀、材木屋の二階に帰って来たのだが、なかなか言い出しにくかった。初夏の午後である。西日が部屋にはいって、暑かった。私は、オラガビイルを一本、Hに買わせた。当時、オラガビイルは、二十五銭であった。その一本を飲んで、もう一本、と言ったら、Hに呶鳴られた。呶鳴られて私も、気持に張りが出て来て、きょう学生から聞いて来た事を、努めてさりげない口調で、Hに告げることが出来た。