Japanische Klassiker mit Furigana
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かけこみうったえ
走れメロス
Lesen Sie 走れメロス (かけこみうったえ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.745 Zeichen · 112 Bildschirme
「僕はそこの音楽学校にかれこれ八年います。なかなか卒業できない。まだいちども試験というものに出席しないからだ。ひとがひとの能力を試みるなんてことは、君、容易ならぬ無礼だからね」
「そうです」
「と言ってみただけのことさ。つまりは頭がわるいのだよ。僕はよくここにこうして坐りこみながら眼のまえをぞろぞろと歩いて通る人の流れを眺めているのだが、はじめのうちは堪忍できなかった。こんなにたくさんひとが居るのに、誰も僕を知っていない、僕に留意しない、そう思うと、――いや、そうさかんに合槌うたなくたってよい。はじめから君の気持ちで言っているのだ。けれどもいまの僕なら、そんなことぐらい平気だ。かえって快感だ。枕のしたを清水がさらさら流れているようで。あきらめじゃない。王侯のよろこびだよ」ぐっと甘酒を呑みほしてから、だしぬけに碾茶の茶碗を私の方へのべてよこした。「この茶碗に書いてある文字、――白馬驕不行。よせばいいのに。てれくさくてかなわん。君にゆずろう。僕が浅草の骨董屋から高い金を出して買って来て、この店にあずけてあるのだ。とくべつに僕用の茶碗としてね。僕は君の顔が好きなんだ。