Japanische Klassiker mit Furigana
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ちょうじんひげのはかせ
超人鬚野博士
夢野 久作
Lesen Sie 超人鬚野博士 (ちょうじんひげのはかせ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.054 Zeichen · 117 Bildschirme
向うの山の中に在る明治医学校でも実験用の動物を分けてくれ分けてくれってウルサク頼んで来ているんだからね。大した国益事業だよ」
吾輩は天狗猿の口の巧いのに感心した。丸い卵も切りようじゃ四角、往来の犬拾いが新興日本の花形なんだから物も云いようだ。
「やってみてもいいですが、資本が要りますなあ」
「フウン……資本なんか要らん筈だがなあ」
「要りますとも……犬に信用されるような身姿を作らなくちゃ……」
「アハハ、成る程……どんな身姿かね」
「二重マントが一つあればいいです。それに山高帽と、靴と……」
「恰度いい。ここに僕の古いのがある。コイツを遣ろう」
と云ううちに最早、古山高と古マントと古靴を次から次に窓から出してくれたので、流石の吾輩も少々煙に巻かれた。
「洋傘は要らんかね」
「モウ結構です。先生のお名前は何と仰言るのですか」
「僕かね。僕は鬼目という者だ。この法医学部を受持っている貧乏学者だがね」
吾輩は思わず貰い立ての山高帽を脱いだ。鬼目博士の論文なら嘗て亜黎子未亡人の処で読んだ事がある。その頃まで、三十年前頃までは、微々として振わなかった日本の法医学界に、指紋と足痕の重要な研究を輸入した科学探偵の大家だ。