Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
Lesen Sie 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.235 Zeichen · 77 Bildschirme
余が飛び上がるのを相図に四人が申し合せたようにホホホと癇の高い声で笑った。おやと思ううちにどたりと元のごとく地面の上に立った。
これは誰が聞いても滑稽である。冒険の主人公たる当人ですらあまり馬鹿気ているので今日まで何人にも話さなかったくらい自ら滑稽と心得ている。しかし滑稽とか真面目とか云うのは相手と場合によって変化する事で、高飛びその物が滑稽とは理由のない言草である。女がテニスをしているところへこっちが飛び上がったから滑稽にもなるが、ロメオがジュリエットを見るために飛び上ったって滑稽にはならない。ロメオくらいなところでは未だ滑稽を脱せぬと云うなら余はなお一歩を進める。この凱旋の将軍、英名嚇々たる偉人を拝見するために飛び上がるのは滑稽ではあるまい。それでも滑稽か知らん? 滑稽だって構うものか。見たいものは、誰が何と云っても見たいのだ。飛び上がろう、それがいい、飛び上がるにしくなしだと、とうとうまた先例によって一蹴を試むる事に決着した。先ず帽子をとって小脇に抱い込む。この前は経験が足りなかったので足が引力作用で地面へ引き着けられた勢に、買いたての中折帽が挨拶もなく宙返りをして、一間ばかり向へ転がった。