Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
Lesen Sie 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.235 Zeichen · 77 Bildschirme
船に酔ったものが陸に上った後までも大地を動くものと思い、臆病に生れついた雀が案山子を例の爺さんかと疑うごとく、マクベスを読む者もまた怖の一字をどこまでも引張って、怖を冠すべからざる辺にまで持って行こうと力むるは怪しむに足らぬ。何事をも怖化せんとあせる矢先に現わるる門番の狂言は、普通の狂言諧謔とは受け取れまい。
世間には諷語と云うがある。諷語は皆表裏二面の意義を有している。先生を馬鹿の別号に用い、大将を匹夫の渾名に使うのは誰も心得ていよう。この筆法で行くと人に謙遜するのはますます人を愚にした待遇法で、他を称揚するのは熾に他を罵倒した事になる。表面の意味が強ければ強いほど、裏側の含蓄もようやく深くなる。御辞儀一つで人を愚弄するよりは、履物を揃えて人を揶揄する方が深刻ではないか。この心理を一歩開拓して考えて見る。吾々が使用する大抵の命題は反対の意味に解釈が出来る事となろう。さあどっちの意味にしたものだろうと云うときに例の惰性が出て苦もなく判断してくれる。滑稽の解釈においてもその通りと思う。滑稽の裏には真面目がくっついている。大笑の奥には熱涙が潜んでいる。