Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅみのいでん

趣味の遺伝

夏目 漱石

Lesen Sie 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.235 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

年頃の息子に嫁を持たせたいと云うのは親の情としてさもあるべき事だが、死んだ子に娶を迎えて置かなかったのをも残念がるのは少々平仄が合わない。人情はこんなものか知らん。まだ年寄になって見ないから分らないがどうも一般の常識から云うと少し間違っているようだ。それは一人で侘しく暮らすより気に入った嫁の世話になる方が誰だって頼りが多かろう。しかし嫁の身になっても見るがいい。結婚して半年も立たないうちに夫は出征する。ようやく戦争が済んだと思うと、いつの間にか戦死している。二十を越すか越さないのに、姑と二人暮しで一生を終る。こんな残酷な事があるものか。御母さんの云うところは老人の立場から云えば無理もない訴だが、しかし随分我儘な願だ。年寄はこれだからいかぬと、内心はすこぶる不平であったが、滅多な抗議を申し込むとまた気色を悪るくさせる危険がある。せっかく慰めに来ていつも失策をやるのは余り器量のない話だ。まあまあだまっているに若くはなしと覚悟をきめて、反って反対の方角へと楫をとった。余は正直に生れた男である。しかし社会に存在して怨まれずに世の中を渡ろうとすると、どうも嘘がつきたくなる。