Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
Lesen Sie 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.235 Zeichen · 77 Bildschirme
学問上の研究の領分に属すべき事柄である。少しも疚ましい事はないと思い返した。どんな事でも思い返すと相当のジャスチフィケーションはある者だ。悪るかったと気がついたら黙坐して思い返すに限る。
あくる日学校で和歌山県出の同僚某に向って、君の国に老人で藩の歴史に詳しい人はいないかと尋ねたら、この同僚首をひねってあるさと云う。因ってその人物を承わると、もとは家老だったが今では家令と改名して依然として生きていると何だか妙な事を答える。家令ならなお都合がいい、平常藩邸に出入する人物の姓名職業は無論承知しているに違ない。
「その老人は色々昔の事を記憶しているだろうな」
「うん何でも知っている。維新の時なぞはだいぶ働いたそうだ。槍の名人でね」
槍などは下手でも構わん。昔し藩中に起った異聞奇譚を、老耄せずに覚えていてくれればいいのである。だまって聞いていると話が横道へそれそうだ。
「まだ家令を務めているくらいなら記憶はたしかだろうな」
「たしか過ぎて困るね。屋敷のものがみんな弱っている。もう八十近いのだが、人間も随分丈夫に製造する事が出来るもんだね。当人に聞くと全く槍術の御蔭だと云ってる。