Japanische Klassiker mit Furigana
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あし
足
豊島 与志雄
Lesen Sie 足 (あし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.967 Zeichen · 8 Bildschirme
」
「下関まで行きます。」
それには何とも返辞をしないで、だいぶ暫くたってから、ふいに云い出した。
「昨晩は、どうも……とんだ失礼をしました。」
「え?」
「少し飲んでいたものですから、よう寝込んでしまって、度々どうも……。」
「じゃあ……あの……。」
「え、足を……どうも……。」
「ああそうですか。私こそ失礼しました。」
「いや、どうも……その……習慣になってるものですから。」
繰返される「どうも……」という言葉の響きに、私は彼の人の善さを感じながら、初めてその様子を見調べてみた。髪の毛の薄い、痩せ細った、病身らしい男で、長い首に喉仏が高く出ていた。浅黒い顔の色艶は、呼吸器か消化器かが悪い者のようで、眼の光が疲れて、黝ずんでいた。
彼は私の顔を時々偸み見ながら、ゆっくりした調子で云っていた。
「どういうものか、横になると膝から下がだるくて、かないません。それで、いつも膝の下に物をあてて寝る癖がついて、どうもそうしないと、よく寝つけないです。で、昨晩も、この鞄を膝の下にあてて寝ましたところが、どうも……。」
隣席との境の床に、大きなトランクがあって、その上に、小さな赤革のスーツケースがのっていた。