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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろじょう

路上

芥川 竜之介

Lesen Sie 路上 (ろじょう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.539 Zeichen · 87 Bildschirme

Aozora Bunko

」

新田は前後左右に蠢いている鼠の棒縞を見廻しながら、誰にと云う事もなく、喧嘩を吹きかけるような手真似をした。

三十

初子と辰子とを載せた上野行の電車は、半面に春の夕日を帯びて、静に停留場から動き出した。俊助はちょいと角帽をとって、窓の内の吊皮にすがっている二人の女に会釈をした。女は二人とも微笑していた。が、殊に辰子の眼は、微笑の中にも憂鬱な光を湛えて、じっと彼の顔に注がれているような心もちがした。彼の心には刹那の間、あの古ぼけた教室の玄関に、雨止みを待っていた彼女の姿が、稲妻のように閃いた。と思うと、電車はもう速力を早めて、窓の内の二人の姿も、見る見る彼の眼界を離れてしまった。

その後を見送った俊助は、まだ一種の興奮が心に燃えているのを意識していた。彼はこのまま、本郷行の電車へ乗って、索漠たる下宿の二階へ帰って行くのに忍びなかった。そこで彼は夕日の中を、本郷とは全く反対な方向へ、好い加減にぶらぶら歩き出した。賑かな往来は日暮が近づくのに従って、一層人通りが多かった。のみならず、飾窓の中にも、アスファルトの上にも、あるいはまた並木の梢にも、至る所に春めいた空気が動いていた。