Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
下宿というものはへんなもので、ひとつ嫌になると不思議に何からなにまで癪にさわってくる。べつに何がどうしたというわけでもないが、ただ朝夕その遣り方のすべてが気に食わないのだ。こうなると先方もこの気分を感じて、気のせいか一そう虐待しはじめる。そうするとこっちもつい好戦的になって、事につけ物にふれ角が立ち、何となく大事件が突発しそうでしじゅう胸のばたばたするような日がつづいていた。なにもそんなところに我慢していなくても、ぽんぽん威勢のいい言葉を残して速刻引っ越したらよさそうなものだが、事実また、憤然と荷物をまとめにかかったことも一再にとどまらないのだが、ところが、じっさいに当ってみると、夫婦で荷物を足もとに茫然街上に立つわけにもゆかないしするから、一日延ばしに漫然と腰を据えていたので、そのまえにほかを探したらいいだろうというかも知れないけれど、それは、もちろんあちこちさがしてはいるんだが、条件がむずかしいからなかなかないのだ。そこへもって来て、いっそベントレイお婆さんが出て往けがしにしてくれると、日本人の性質として、たとえ当てがなくても即座に飛び出すんだけれど、出られてはまた困るものだから、お婆さんも決して積極的な態度をとらない。