Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
とくっつけて、これが私の日本名だと指したら、お婆さんはますますにこにこして、おなじ国の人からこんな立派な推薦状が行くんだから、その日本人はきっと来るにきまっている、と、もう一部屋ふさがったようにほくほくもので引き取って行った。
すこし罪だね――私たちはそう言って笑い合っただけで、このことはそのまますぐ忘れてしまった。もっとも時どきは話題にのぼって、
『どうでしょう、あの日本人の人、お部屋を見にくるでしょうか。』
『なあに、ああ言ってやったんですもの、来るもんか。』
などと、そのたびに、お婆さんに対しては意地がわるすぎるが、一つの復讐をした気になって、私たちはすくなからず溜飲を下げていた。が、お婆さんは、広告に出ていた「日本青年紳士」のアドレスへ私の推薦状を同封した一書を即日正確に飛ばしたものに相違ない。
それから二、三日した夕方だった。ベントレイ婆さんが顔色を変えて私たちの部屋の戸をあけて、広告主の日本人が来たから、出てきてこんどはひとつ大いに口で推薦してくれという。何しにまたやって来たんだろう?――といささか憤しく感じながら、ヴァレイ夫人を先に立てて、私が別室へ行ってみると、這入った拍子に、ひとりの色の黒い小さな青年が、ぴょこりと椅子を立っておじぎをした。