Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
嫌だなんて言ったってもう駄目だ。はなしは早い。君の汽車はいま巴里へ滑り込もうとしている――。
僕が停車場まで迎えに出る。
出来ることなら初夏、もしくは秋の夕ぐれがいい。長い黒煙の旅を終えて北から南から西から東から巴里へ入市したまえ。
ははあ! 君にとってそれは「暫く空けていたふるさと」へ帰るこころもちだ。この、灯のつき初めた巴里の雑沓へ、北停車場なり聖ラザアルなりから吐き出される瞬間の処女のような君のときめき、それほど溌剌たる愉悦はほかにあり得まい。いつ来ても同じ巴里が君の眼前に色濃く展開している。だから、鞄を提げて一歩改札口を踏み出るが早いか、灯火とタキシと女の眼とキャフェの椅子と、巴里的なすべてのものがうわあっと喚声を上げて完全に君を掴んでしまう。同時に君は、忻然として君じしんの意思・主観・個性の全部をポケットの奥ふかくしまいこむだろう。こうして君は巴里の洗礼を受ける。するともう君は巴里人という一個の新奇な生物に自然化しているのだ。君ばかりじゃない、土耳古人もせるびや人も諾威人も波蘭人もブラジリアンもタヒチ人も亜米利加人も――。
笑っている巴里。